赤川クリニック

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お知らせ

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当院で行う妊婦健診時の検査について

2022.12.24 更新

 妊娠初期に行う血液検査の項目の多くが感染症です。母体に感染症があった場合、治療が可能なものは治すことが基本だと思います。また、妊娠中に甲状腺機能異常や耐糖能異常が見つかった場合は、なるべく正常範囲を維持するような努力をしていきます。
 しかし、感染症の中で、胎児・新生児に様々な問題を起こすと言われているサイトメガロウイスルは、妊娠時スクリーニングとしての検査結果の判断が難しく、それ故、一般的なスクリーニング項目に入っていません。母体にその感染を疑うような症状があったり、胎児発育に異常が疑われたりした場合に検査をすることがあります。今考えられている1番の問題は、重度の難聴の原因になるということです。これに対し、当院では生後0日から1日以内に赤ちゃんの聴力検査を全例に行っています。その結果が再検査となった場合、積極的にサイトメガロウイルスの検索を行い、専門医による聴覚検査を受け、抗ウイルス薬による治療を遅滞なく始められるようにと考えています。

 赤ちゃんの両親の血液型を知ることも同様な視点で捉えています。胎児・新生児の溶血性貧血の原因としてRh型不適合はよく知られていますが、ABO型の不適合も存在します。今までは、母の血液型しか手元に資料としてありませんでしたが、最近は、おなかの赤ちゃんのお父さんにあたる人の血液型も確認することにしました。あらかじめ父の情報もあることで、赤ちゃんの血液型が予測され、Rh型不適合に対しては妊娠中から対応することが可能です。また、ABO不適合の可能性が判っていると、出生後の赤ちゃんの黄疸の評価により注意が注がれることになり、重症化を見過ごすことがなくなると信じています。

 いずれの検査も、また妊婦健診のやり方も、この施設でいかにより安全に、皆さんにとってはより安心して妊娠期を過ごしてもらえるか、無事にお産を終えてもらえるか、家族揃って家に戻ってもらえるか、の考えから設定してきました。見方を変えると、皆さんの主治医である私自身が安心して皆さんに対応できる状況を維持する努力なのだ、ともお考え頂けると幸いです。

2022.12.24. 赤川 元